近況報告
2020年10月19日
正統性
自衛隊を毛嫌いする人がいますが、おそらく想像ですがマックス・ウェーバーの
「国家の本質とは域内の正統な暴力を独占していることである」
が問題なのでしょう。その暴力の実態が国家所有の武装機関であることろの「自衛隊だ!」
ということなのでしょう。ここで「正統な暴力」とはなんでしょう?「正当」ではなく「正統」です。
「正統」が含む意味は人々が信じるところの安定と安心をもたらす秩序の原資となる権威と権力による強固な支配力、統制力です。
皆が信頼し、社会の安定をもたらす「信仰」めいた「尊敬」を集めた武将集団ということになります。
人民解放軍などは映画『芙蓉鎮』などを観ると絶対正義の使者、と民衆に支持されていて、その点では大成功していると言えます。
これは前置きですが、我が国の「正統性」が崩れ去る大事件が起こりました。
国家権力の権威の象徴とも言える法務大臣は死刑を実行できる権限があります。
そういう立場の人が、自分の身内の参議院選挙で、現金を配ったり、さらにはコンピューターの業者に同じ自民党の対立候補の悪口を匿名でネットに書きこませていたことが刑事裁判で検察側により明らかにされたと本日、中国新聞が報じました。書き込む悪口の内容も法務大臣が支持していたとのことです。事実なら、こんな卑怯でちっちゃいちっちゃい輩が実は今、我が国の国会議員になっていて、法務大臣をやっていた、のです。これを我々はどう理解すればいいのでしょう。これは自民党だとか一億総忖度政権だとかいう問題にとどまらない、日本の政治家という範囲でも収まらない、既存権威への取り返しのつかない不信感を植え付けた、国家的信用失墜行為です。既存の権威が保持していた正統性という、この社会の秩序を支えてきた骨格が完全に瓦解したということなのです。
それにしても会社員なら会社の信用を貶めたら「信用失墜行為」で懲戒免職になりますが、法務大臣が国家、国民、国威、国勢を貶める信用失墜行為をしでかした場合、どう裁かれるのでしょうか?人をさんざん裁く権力機関の長であったなら、無罪放免なのでしょうか? とにかく「ネットに対立候補の悪口を書きこませていた法務大臣」に社会はあきれはて、この国の未来には何ら希望を持てなくなることでしょう。
「背広着てネクタイして偉そうにしてる奴等って、たいがいはほんとは信じがたいほど下衆でクズ!なっさけねぇ世の中だわ!」 ということになろうかと思います。
市中で毎日汗水たらして働いている庶民の、なんと純粋で正直で清らかなことでしょうか。