私は心臓外科医です。
勤務先は学校法人昭和大学です。教授職を拝命しています。
するとよく、「大学で講義する時間など手術以外の仕事が増えて、手術をあまり執刀できなくなったのではないですか?」
などと尋ねられますが、そんなことはありません。
私の日常はここ20年変わっていません。ついでに言うと、私の周りでサポートしてくれるスタッフも、これまでと同様、変わりません。
もちろん、大学病院という巨大な「機関」で教授職という要職を賜った分、それだけの責任が増え、それらは今まであまり経験したことがないことでしたが、これも勉強です。
私は34歳で鎌倉で心臓外科部門を任され、心臓外科医として独立して以来、一心不乱に心臓外科手術を執刀しています。その間、病院を移るたびにその施設の心臓外科部門をゼロから立ち上げる、あるいはリニューアルする大役を仰せつかりました。どの施設においても心をウキウキさせて挑んだ新たな挑戦でした。そしてどの施設でも、スタッフの多大なるご助力もあり、それなりの成功を収めることができました。今から思えばそういった経験は、いろいろとつらいこともありましたが、本当に貴重なものでした。
各病院でのスタートは人材不足、物品不足、周囲の無理解など常に悪条件にさらされ、孤軍奮闘、行きあたりばったりの対応しかできないこともありました。が、そこからの成功の体験はみな心から懐かしい、つい笑みがこぼれる楽しい思い出に満たされています。
私は類まれなる、幸運な心臓外科医であります。
強運と友人、支援者に恵まれ、常に山の稜線を踏破し、いくかの青山の頂を超えて来たのです。
そんな私が2015年10月、大学病院で職を得ました。
前述のごとく、毎夜明日の手術のことで思い悩む手術三昧の日常は以前と何ら変わり映えしないのですが、大学病院で全くの新機軸の挑戦に取り組もうと、今まで以上に心を弾ませております。
これまでと同様、皆様のご支援を賜れますよう、お願いいたします。
これから出会う皆様とは、見たこともない、想像したこともない、全く新しい未来をご一緒に創成できることを期待する次第です。
さらに高みにある青山の頂に向かって、一歩一歩を踏みしめております。
南淵明宏(なぶち あきひろ)
昭和大学横浜市北部病院 循環器センター 教授 成人心臓血管外科担当
心臓血管外科専門医、同指導医
日本外科学会専門医、同指導医
日本循環器学会循環器専門医
臨床研修指導医(厚労省)
医学博士、岡山大学非常勤講師、麗澤大学客員教授