近況報告
2023年4月1日
4月1日 戸籍廃止か?
毎日新聞朝刊に専門編集委員の伊藤智永さんの「戸籍、廃止します」という文章が載っていました。
全く同感です。伊藤氏は少子化対策として絶大な効果が見込めるとしていますが、全くその通りです。さて、この日本社会では、婚外子がネガティブなイメージをぬぐえません。片親、田舎者、よそ者、親族に犯罪者、遺伝病の人がいる。そんなつまらない理由でも、差別する人がいます。弱い人、自信がない人、人生が不安で不安でしょうがない、いわゆる「心の負け組」に属する人は人を差別することに生きがいを感じるのです。「うちの息子の同級生だったあの子、東大の法学部に在学中に司法試験に合格して外交官試験にも合格して今、フランスの高等学院に入学していて来年からバーゼルの物理学校に入学するらしいんだけど、お父さんがいないらしいよ!」 と、こんな具合です。何か理由をみつけて、とにかく蔑んで差別することで心の安寧を得るのです。「心の負け組」を通り越して「心の完敗組」と言えます。こんな人は、WBCで満塁ホームランを打ってそのシーズンで大リーグでピッチャーで20勝してホームランを60本打った大偉人がいたとしても、「あの人の親のいとこの結婚相手のおじさんの子供の結婚相手のいとこが下着泥棒でつかまったらしいよ」とかいう人もいるのでしょう。心の貧しい人の「なんとか人を差別してやろう!」のエネルギーはものすごいものです。
 伊藤氏は文章で生政治、生権力といったフーコーの提唱した現代国家の統治理論を引用していますが、これには納得できません。日本社会の権力の源泉、統治の構造は中世以前の原始的なメルヘンの世界が支配する「貢納性」にあります。えらい人はえらい。民衆はエライ人に貢物を差し出して、理不尽な命令にも異を唱えず従わなければならない。それが美徳と信じられている「思考停止」の社会なのです。