近況報告
2024年6月6日
「尊厳ある職務」
 横浜市の教育委員会が関係者の学校長のわいせつ事件の刑事裁判の公判に、職員をこそこそと動員して傍聴席を埋めていたという記事が世間を呆れさせています。識者からは刑事裁判の公開性を阻害した反社会的行為!いつもの教育委員会の隠ぺい工作!など意見が出ています。しかしどうせ、責任者の辞任と再発防止策の作文で幕引きとなるのでしょう。
 この事件にはもっと大きな問題があります。それは、職務で動員された教育委員会の職員は、動員の事実が周囲からばれないように、事前に集合しない、当日も互いに言葉を交わさないなど細かく指示されていました。彼らの中にもこの破廉恥で屈辱的な行動に疑問を持つ人もいたはずです。憲法には「国民を使役労働に従事させてはいけない」と明記されています。さて、今年の4月から「働き方改革」が実施され、労働時間が制限されています。意にそぐわない屈辱的な職務を拒む権利が与えられることも必要な「働き方の改革」ではないでしょうか。親や子供、友人に誇れる職場を提供することが事業者の責務なのではないでしょうか。
 おりしも鹿児島県警で、野川明輝県警本部長が県警署員のわいせつ事件を直接隠蔽を支持したとの内部告発がありました。そして告発者は元県警職員で公務員の「守秘義務」違反で鹿児島県警が逮捕拘留しています。裁判所で告発者は告発の意図を克明に陳述しました(拘留不服)。その内容は朝日、毎日、日経、NHK,など各報道機関で報道、掲載されています。52歳の県警本部長閣下様にとっては今後の出世が断ち切られた(注)大惨事に見舞われたお気の毒な事件ですが、権力者の不正が平気で見逃され、「社会の公正さ」への信頼がすでに瓦解している今の日本社会で、なおいっそう、「公的機関の公正さ」が肥溜めの底に沈められた事件と言えます。どんなことでも、エライ人は許され、貧乏人は正しいことをすればかならず罪人にされてしまう!
 エライ人の悪行は「見ざる」「聞かざる」「決して口にせず」!これが人の世というものなのでしょうか。
(注)県警本部長のお仕事はこういった事件をいかに隠ぺいするかということらしいようです。隠蔽できなかった場合と、今回のように、隠蔽がバレた、場合では、どちらの場合でも本部長は同じ評価を受けたでしょう、ということです。エライ人はエライ人で大変ですね。