近況報告
2025年8月10日
コーリョー事件の社会学的考察

「じゃあ、バイト明日からね。ところでどこの高校」
「コーリョーです・・・」
「・・・えー、あ、ごめん、もう人員足りてた。よそ当たって。ごめんね。ヒロシマで仕事探したら?えっダメなの。かわいそうに。これから一生言われちゃうねぇ」

上級生の暴力で傷害、強制わいせつが行われたのに、それらの犯罪を監督や学校、高野連が隠蔽した!と日本社会は怒っています。ユーチューブではそれらしい証拠をもとに様々な角度からの批判が監督や校長、高野連に向けられています。この現象を俯瞰的に見ると、やはりこれは、権力者が利権を独占し、弱いものイジメしほうだいであるこの国の現実に対する社会の不満が爆発寸前であることが背景にあるのではないでしょうか。最近も選抜大会の選考で秋の東海大会で準優勝したチームを高野連のわけのわからない説明でベスト4のチームが選ばれました。権力のどんな理不尽にも高校生は従え!という軍国主義的な教育方針なのでしょう。ちなみに選考もれした学校は今年の夏、勝ち上がってきました!健闘を祈りますが、あまり勝ちすぎるとじいさんたちの反感を買い、一生目を付けられるかもしれません。心配です。
社会は今、権力に不満を抱いています。
自民党国会議員の裏金脱税事件をいっさい不問にする税務当局、知らない間に値上げされる社会保険料。あやしいとしか思えないおコメの流通システム。大川医化工業の事件捏造、逮捕拘留殺人事件、袴田さん証拠捏造事件に続く金沢検察証拠隠匿犯罪創作事件といったあからさまな犯罪行為にも、検察や軽察はまともに対応しません。トランプ関税の交渉では国民の血税をジャバジャバ使って中古の軍用機を高額で買い取らされ自民党に多額の企業献金をしている企業だけが優遇される点、内閣は財務省のポチ、てめえらのせいで自民党が選挙に負けたのに首相に責任をおっかぶせるクサレ議員。
こういった国民を愚弄するもろもろの「権力の専横」に国民の不満は爆発寸前です。
ドイツの社会学者、ハンナ・アーレントが著した『エルサレムのアイヒマン』では、ホロコーストを首謀したアドルフ・アイヒマンは極悪人では決してなく、想像力にかけた小心者のどこにでもいる能吏にすぎなかった、と評しています。かつての酷税庁長官様閣下も外事一課の刑事も金沢の検事もおそらくそういうたぐいの輩なのでしょう。ただ社会はゆるしません!いや、ユダヤの神がアイヒマンを許さなかったように、歴史は彼らを決して許さないはずです。
今回の野球部寮での集団暴行傷害、強制わいせつ事件に世間が騒いでいるのは、権力構造の下位にあって、実際は権力を直接行使する「小圧制者」(権力の下請け)として機能した上級生の存在なのではないでしょうか。その後のオトナ達の警察や教育委員会に対する稚拙な隠蔽行為はそういった「階層的権力構造」がしっかりと出来上がっていることを強く印象付けました。わかりやすく言えば、闇バイトで若者を使い捨てにする主犯格を学校や監督に重ね合わせたのでしょう。ならば学校、監督に対する社会の強い憤りが理解できます。さて、この「構造」は綿々と続いている伝統であることも暴露されました。弱い奴らはどんな理不尽な目にあわされても我慢してありがたく毎日を過ごすんだ!というわかりやすいメッセージが高校野球では当たり前なのでしょうか。
話は変わりますが2007年、夏の決勝で広陵の野村裕介投手(のちに広島のエース、キャッチャーは巨人の小林)は明らかなストライクをボールと判定されました。そして逆転のホームラン。気の毒でならない試合でした。あの時の理不尽をだまって飲み込んだ広陵は称賛されるべきだと思います。かといって今回の暴力を受け転校していった選手に優位な立場から沈黙を強要したとすれば、これはこれで別個に新たな犯罪=強要罪です。
今回、学校は出場辞退しましたが、彼らの本格的試練はまだ始まっていないことは誰の目にも明らかです。
彼らの中心にいるのは高野連、高校生の努力とアセをさんざん搾取してきた朝日新聞、そして高校野球を治外法権にしている文部科学省です。しかし彼らにその自覚は微塵もないことでしょう。